【徹底解説】インプラントは老後が悲惨といわれる理由やデメリットとは?

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インプラントは画期的な治療である一方、メリットだけでなくデメリットも多く語られています。
そんなインプラント治療について、以下のような不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

「インプラントは老後が悲惨って聞いたけど本当?」
「老後までインプラントのメリットは続く?」

お口の健康は老後まで意識したい部分です。老後になってあれこれ不備がでてくるのであれば、治療に踏み切れないと考える方もいるでしょう。
そこでこの記事では、「インプラントは老後が悲惨といわれる理由」や「老後にこそおすすめできるインプラントのメリット」「老後にインプラントをする場合の注意点」について解説します。
これからインプラント治療を検討されている方や、老後のインプラントに不安を抱えている方などは、ぜひ最後までご覧ください。

インプラントは老後が悲惨といわれる理由やデメリット

インプラントは本来メリットの多い治療ですが、どのような理由から老後が悲惨と言われているのでしょうか。
ここでは、以下8つの項目に分けて、その理由を解説していきます。

  • 要介護になりメンテナンスに通えなくなったから
  • 認知症になり日常のケアからできなくなったから
  • インプラントの手術に耐えられる体力がないから
  • インプラントの費用は負担が大きいから
  • 治療できない場合があるから
  • インプラントと骨が結合する難易度が高いから
  • 細菌感染のリスクがあるから
  • 顎骨の状態によっては治療できる歯科医院が限られるから

一つずつ見ていきましょう。

要介護になりメンテナンスに通えなくなったから

インプラントは、治療が終わったら通院も終わるわけではありません。インプラントを長持ちさせるためには定期的に歯科医院に通院し、メンテナンスを受ける必要があります。通院のタイミングは個人差がありますが、年に数回は通院が必要です。

しかし、要介護になってしまうとメンテナンスに通えなくなってしまいます。 メンテナンスできずにいると、知らないうちにインプラント周囲炎が進行したり、最悪の場合はインプラントが抜け落ちたりしてしまうことも。 メンテナンスに通えず治療が失敗になるリスクがあることから、インプラントは老後が悲惨といわれる理由となっています。

認知症になり日常のケアからできなくなったから

インプラント治療においては、歯科医院でのメンテナンスのほかに、自宅でのセルフメンテナンスも重要です。日常でおこなう歯ブラシやフロスなどのセルフメンテナンスはインプラントを長持ちさせたり、お口の健康を維持するためにも必ずおこなう必要があります。

しかし、認知症が発症するとセルフメンテナンスの重要性を理解できず、日々のケアができないケースもあります。お口の中で異常があっても自分ではその異常に気付けず、診察を受けないまま放置してしまう方もいるでしょう。

以上より、認知症が原因でインプラント失敗のリスクが高まるといえます。

インプラントの手術に耐えられる体力がないから

インプラントの手術は、麻酔後にメスで歯茎を切開するような外科手術がおこなわれます。顎の骨にドリルで穴を開けるような大掛かりな手術になるため、抵抗を感じる方もいます。特に老後になるとインプラント手術のような外科手術に耐えられるほどの体力がなくなる方もいるでしょう。

そのため老後にインプラント治療を検討されている方は、体力面も考慮する必要があります。

インプラントの費用は負担が大きいから

インプラント治療は保険適用外の治療です。そのため、治療費はすべて自費で支払わなければなりません。

インプラント治療は1本あたり、30〜40万円ほどです。その高額な治療費は負担が大きいと感じる方も多いのではないでしょうか。

治療できない場合があるから

インプラント治療はすべての方ができる治療ではありません。健康状態だけではなく、持病がある方も手術ができないと判断されるケースがあります。そのため、老後になるとインプラント治療そのものができないケースが多いです。

インプラントと骨が結合する難易度が高いから

インプラント治療では人工歯根を埋め込み、そこに被せ物として人工歯を被せる治療です。人工歯根を埋め込んだあと、顎の骨と結合するのを待たなければなりません。 しかし、高齢になると骨の密度は少なくなり、人工歯根と骨の結合がうまく進まず、安定しにくくなります。人工歯根が顎の骨ときちんと結合しないとインプラント治療そのものが失敗してしまうのです。 老後はこの人工歯根と顎の骨の結合が難しいため、治療自体も難しいといわれています。

細菌感染のリスクがあるから

インプラント治療は外科手術のため、少なくとも幾つかのリスクが存在します。そのリスクの一つが細菌感染です。細菌感染するとインプラント治療がうまくいかない可能性もあります。 高齢者になると、免疫が落ちていますので細菌感染のリスクは高くなります。そのため、手術前と手術後の管理が重要です。

顎骨の状態によっては治療できる歯科医院が限られるから

インプラント治療では、人工歯根を埋め込む顎骨の骨密度が骨密度が低下している場合、骨造成の手術が必要になります。 骨造成の手術は難しい手術で、すべての歯科医師ができる治療ではありません。かかりつけの歯科医院でインプラント治療をしたくても、骨造成が必要となると「できません」と断られてしまう可能性があるのです。 顎の骨の状態は、検査するまでわかりません。いざ治療をしたくても顎の骨の状態によっては治療できる歯科医院が限られてしまうのはデメリットです。そして年齢を重ねれば重ねるほど、骨密度が低下している可能性も高くなります。

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老後にこそおすすめできるインプラントのメリット

ここまでインプラントは老後が悲惨と言われる理由についてご紹介してきました。ですがインプラント治療には、治療をしてよかったと老後に感じられる以下のようなメリットも存在します。

  • 噛む力を保てる
  • 会話や食事を楽しめる
  • 外見を若々しく保てる
  • 認知症リスクを軽減できる
  • 人工歯の管理がしやすい
  • 周囲の健康な歯を守れる
  • 誤嚥性肺炎のリスクを軽減できる

それぞれ解説します。

噛む力を保てる

噛む力は重要な機能の一つです。食事の際にきちんと噛むことができないと、消化器官に負担をかけてしまいます。また、噛めないとなると食事の内容も偏りがでてしまうでしょう。食事内容の偏りは健康状態にも影響を与えます。 インプラント治療において、噛む力は自然歯と同じくらい保てます。歯のない状態を放置せずにインプラント治療をおこなったほうが、老後も健康な生活を送れるでしょう。

会話や食事を楽しめる

歯を失うと、会話や食事が楽しめなくなります。 歯がないと噛むのがストレスになりますし、食事の内容も選ばなければなりません。好きなものを食べれなくなるのは多くの方にとって苦痛を感じるのではないでしょうか。また、歯がないと発音もしにくくなるため、会話自体が困難になります。そこでインプラント治療をおこなえば、会話も問題なく楽しめるようになるでしょう。

外見を若々しく保てる

口元は、顔の印象を左右します。インプラント治療によって美しい歯が並ぶことで、顔全体が明るく感じられ、若々しく見られるようになるでしょう。 インプラント治療により失った歯を元のように戻せられれば、見た目の美しさを保てます。口を開けて話したり、笑ったりできるのはインプラントのメリットです。

認知症リスクを軽減できる

インプラント治療を受けて歯があった頃のように噛めるようになると、認知症のリスクを軽減でます。噛む力は、脳に刺激を与えるためです。 また、咀嚼により視覚や聴覚などの感覚にも刺激を与えます。そのため、脳が活性化され、認知症以外にも脳に良い影響を与えるでしょう。

人工歯の管理がしやすい

失った歯の治療にはインプラント以外にもブリッジや入れ歯・差し歯があります。これらは取り外してメンテナンスする必要があるのに対し、インプラントは取り外しの必要がありません。また、メンテナンスも自然歯と同じようにおこなえば良い点もメリットです。 歯ブラシやフロスなどこれまでと同じようにセルフケアできる点は、老後生活するなかで大きなメリットになるでしょう。

周囲の健康な歯を守れる

インプラントは、治療を進める中で周囲の健康な歯に影響を与えません。 一方ブリッジや入れ歯などは、隣り合わせる健康な歯に影響を与えます。入れ歯の場合はバネを隣り合わせる歯にかけますので、通常の生活以上の負担を与えることになります。また、ブリッジの場合も両隣の健康な歯を削る必要があり、周囲の歯を傷つけるリスクが高いです。 健康な歯を健康な状態で守れるのは 、インプラントにしかない大きなメリットです。

誤嚥性肺炎のリスクを軽減できる

インプラントは衛生的な治療のため、誤嚥性肺炎のリスクを軽減できます。 入れ歯の不衛生が誤嚥性肺炎につながる可能性は高いため、入れ歯よりも衛生状態を保てるインプラントは老後にもおすすめといえます。

老後にインプラントをする際の注意点

悲惨な老後を過ごさずにインプラント治療をするためには、以下6つの注意点を意識すると良いでしょう。

  • インプラントの実績が豊富な歯科医院を選ぶ
  • 設備の整った歯科医院を選ぶ
  • 持病がある場合はかかりつけ医に相談する
  • 治療後の通院によるメンテナンスを怠らない
  • 治療後のセルフケアを怠らない
  • 手術後は適度に運動する

ひとつずつ解説します。

インプラントの実績が豊富な歯科医院を選ぶ

インプラント治療は、難易度の高い治療です。患者さんそれぞれで治療方法は変わりますし、それだけの実績の多い歯科医院を選ぶほうが良いでしょう。 歯科医師の経歴や、ホームページなどで症例を確認し、信頼できる歯科医院を選ぶようにしてください。

設備の整った歯科医院を選ぶ

インプラント治療を成功させるためには、口腔内の状態をより正確に把握する必要があります。そのため、歯科用CTなどの高精度な設備を備えている歯科医院を選ぶようにしてください。

持病がある場合はかかりつけ医に相談する

糖尿病や高血圧などの持病はインプラント治療においてリスクを高めます。そのため持病がある場合は、インプラント治療を開始する前に、普段から持病を診てもらっているかかりつけ医へインプラントについて相談してください。 一見、インプラント治療とは関係ないように感じる持病であっても、事前相談は必ずするようにしましょう。

治療後の通院によるメンテナンスを怠らない

インプラント治療は、通院によるメンテナンスを怠らないようにしてください。人工歯根のネジの緩みや歯茎の状態など、素人ではわからない点を確認してもらう必要があります。 また、セルフメンテナンスではケアしきれない部分も、歯科医院でのメンテナンスではケアできます。治療後も歯科医院とは長い付き合いになりますので、信頼できる歯科医院を選ぶようにしましょう。

治療後のセルフケアを怠らない

インプラントは虫歯にはなりません。しかし、セルフメンテナンスを怠るとインプラント周囲炎のリスクがあります。歯と歯の隙間や歯茎との間の汚れもきちんとかきだすようにしましょう。 セルフメンテナンスのやり方がわからない方もいるかもしれません。その場合は歯科医院にて相談すると歯ブラシのやり方やフロスの使い方など丁寧に説明してくれるのでおすすめです。

手術後は適度に運動する

インプラントの手術後は、適度に運動するようにしましょう。理由としては骨を強くするためです。散歩などで太陽の光を浴びるようにするとビタミンDが生成され、骨を構築します。 インプラント手術は日帰りでできる手術です。手術後はできる範囲で適度な運動をするようにしましょう。

インプラントと老後に失った歯を補うその他の治療法の比較

前述もしたように、インプラント以外にも失った歯の治療法があります。インプラント治療を選択する前に他の治療方法もあわせて検討するようにしましょう。それぞれの治療方法にメリットやデメリットが存在します。自分にあった治療方法を選ぶようにしましょう。

入れ歯

入れ歯は取り外しのできる人工歯です。歯を全て失った際には総入れ歯、一部の歯を失った際には部分入れ歯があります。取り外しができるため、お手入れが簡単にできる点が特徴です。また、手術をしなくてもできる治療ですので負担が軽い治療をしたい場合は良い治療といえるでしょう。 一方で、見た目は目立ちやすく、会話もしにくいというデメリットがあります。口の中に装着する装置ですので食事もしにくいでしょう。 自然歯に近い動きができるインプラントに劣る部分ですので、見た目や生活のしやすさを重視するのであればインプラントがおすすめです。

ブリッジ

ブリッジは失った歯に隣り合わせにある歯を削り土台にします。そこに人工の歯を被せる治療方法で、取り外しはできませんが自然歯に近い見た目をしています。機能面でも自然歯に近い機能をもっていますので、食事や会話もこれまで通りできる点はブリッジの大きなメリットです。 しかし、どうしても健康な歯を削り土台にしなければなりません。健康な歯をあえて削らなければならない点は大きなデメリットです。 健康な歯を傷つけたくないと考えるのであればインプラント治療がおすすめです。

差し歯

差し歯は、歯根が残っている場合に適用される治療で、残存する歯根に土台を立て、その上に人工の歯冠を装着します。 治療は1〜2ヶ月程度で終了するため、インプラントよりも治療を早く終えたい方におすすめできます。また、価格も大幅に抑えることが可能です。 ですが、機能面や見た目で劣る場合があるため、自然な見た目や咀嚼などを手に入れたい方にはインプラントがおすすめです。

コラム

インプラントと差し歯の違いは?メリット・デメリットを解説

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まとめ

インプラント治療は老後が悲惨だといわれることがあります。しかし、それ以上にインプラントにはメリットがたくさんあることも事実です。 失った歯の治療にはブリッジや入れ歯がありますが、健康な歯を傷つけない治療方法はインプラントだけです。あえて健康な歯を傷つけたくないと考える方はインプラントを選択すると良いでしょう。

この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎

略歴

2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る

所属学会

アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会