奥歯のインプラントにデメリットはある?メリットや注意点も解説

奥歯のインプラントにデメリットはある?メリットや注意点も解説
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「奥歯をインプラントにしたいけど、何かデメリットってある?」と気になったことはありませんか?
結論、奥歯のインプラントにデメリットがあることは事実ですが、そのデメリットは前歯でも同じことがいえるものばかりです。
そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

  • そもそもどこからどこまでが奥歯?
  • 奥歯をインプラントにするデメリット
  • 奥歯のインプラントはメリットも豊富
  • 奥歯のインプラントを受ける際の注意点

この記事を読むことで、奥歯をインプラントにするデメリットだけでなく、メリットや注意点まで幅広く理解することができます。
奥歯のインプラントを検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

そもそもどこからどこまでが奥歯?

そもそも奥歯といわれる歯はどこからどこまでなのでしょうか。
奥歯は臼歯とも呼ばれ、大臼歯と小臼歯が存在します。この大臼歯と小臼歯には1番と2番の番号が振り分けられています。
一番奥にある臼歯は第二大臼歯、その一つ手前の臼歯は第一大臼歯です。そしてその手前2つの歯は第一小臼歯と第二小臼歯に分類されます。
奥歯はこの第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯、第二大臼歯の上下左右合わせて16本の歯を指します。
ちなみに親知らずは第三大臼歯に分類され、生えてくる方も生えてこない方もいる歯です。
基本的に親知らずは抜けても問題ないとされています。親知らずにインプラントが適用されることはありません。

奥歯が持つ役割

奥歯の役割は食事の際にする咀嚼です。食べ物をすりつぶし、消化しやすい形状にする役割をもっています。
奥歯の別名である臼歯に「うす」という漢字が使用されているのは、臼歯がうすのような役割をもっているためです。
奥歯がなくなると咀嚼の機能が失われてしまいます。食事がうまくできないだけでなく、消化器官にも負担をかけるでしょう。
また奥歯は、咀嚼以外にも噛み合わせのバランス維持の役割ももっています。

奥歯をインプラントにするデメリットとは?

先ほども解説したように、奥歯は重要な役割を持っていますが虫歯によって失いやすい歯でもあります。
失った奥歯を取り戻すのに有効な治療がインプラントですが、奥歯のインプラントには以下のようなデメリットが考えられます。

  • 骨の状態次第で追加の手術が必要になる
  • 保険適用外のため治療費が高額になる
  • 治療期間が長い
  • 治療後もメンテナンスが必須になる
  • 治療が失敗する可能性がある
  • 虫歯や歯周病の治療が必要になることがある
  • 治療前のCT撮影が必要になる

一つずつ解説します。

骨の状態次第で追加の手術が必要になる

インプラント治療では人工歯根を顎の骨に埋め込み、被せ物を被せます。
この際に、顎の骨が少ないとなるとインプラント治療の他に骨を増やす治療をしなければなりません。
顎の骨を増やす方法はいくつかあります。患者さんの要望やお口の状態に合わせて治療方法は選択可能です。
しかしどの方法においても難易度は高く、対応できる歯科医院は限られています。
骨造成の経験が豊富な歯科医師を探す必要があるでしょう。
また、顎の骨の状態によってはインプラント治療そのものができないと判断される可能性があるため注意すべき点です。

保険適用外のため治療費が高額になる

インプラント治療は基本的に自由診療です。そのため、治療にかかる費用はすべて自分で支払う必要があります。
インプラントの治療費全額となると、インプラント治療1本あたり40〜50万円ほどの治療費を支払わなければなりません。
これは奥歯でも前の歯でも料金はほぼ変わりません。
複数本の歯を治療する場合はもっと高額な治療費を自費で支払う必要があるでしょう。

治療期間が長い

失った歯の治療方法にはインプラント以外にもブリッジや入れ歯があります。 これらを総合してみてもインプラント治療は治療にかかる期間が長くなります。 それぞれの治療期間について表にまとめてみました。

治療方法 治療期間
インプラント 3か月〜1年
ブリッジ 2週間〜1か月
入れ歯 1か月〜4か月

このようにインプラント治療は最短でも3か月と治療期間が長いです。
すぐに治療を終わらせたい、忙しくて通院する時間がない方は長期間の治療期間がデメリットに感じるでしょう。
先ほども解説したように骨を増やす治療が必要になった場合や、トラブルが発生した場合はこれ以上の治療期間がかかるケースもあります。
治療に一定の期間が必要な点は、事前に把握しておくべきでしょう。

治療後もメンテナンスが必須になる

インプラント治療が終わった後でも、その後のメンテナンスは継続していく必要があります。 治療後も自宅でのセルフメンテナンスはもちろん、定期的に通院してお口の中の状態をみてもらわなければなりません。
メンテナンスを怠ると、最悪の場合インプラントが抜け落ちてしまう可能性もあるため注意が必要です。
また、インプラント治療には保証がついている場合がありますが、定期的なメンテナンスを実施していないと保証適用外と判断されるケースもあります。
高額な治療費を支払ってインプラント治療をするのであれば、維持するために定期的なメンテナンスは必須と覚えておきましょう。

治療が失敗する可能性がある

インプラントに限らずですが、治療そのものが失敗してしまう可能性があります。
主な失敗事例は下記の通りです。

  • 人工歯根が固定されない
  • インプラント周囲炎にかかってしまった
  • 被せた人工歯が取れてしまう
  • 見た目が悪い
  • 噛み合わせに影響を与えてしまう

これらは治療そのもので失敗してしまう場合のほか、治療後のメンテナンス不足、患者さんに原因があるケースもあります。
失敗しないための対策もありますので、事前に調べておきましょう。

コラム

奥歯のインプラント治療ができないといわれる理由とは?

失った歯を取り戻す方法として有効なインプラントですが、「奥歯のインプラント治療はできない、難しい」といわれることがあります。実際に奥歯のインプラント治療はリスクが高く、お口の状態によってはおすすめできないことも。 […]

虫歯や歯周病の治療が必要になることがある

インプラント治療の前に虫歯や歯周病がある場合は事前に治療をしなければなりません。
虫歯や歯周病を放置したままインプラント治療をおこなうことで、最悪の場合インプラント体が歯茎から脱落し治療失敗となることもあるためです。
特に、インプラントの失敗に繋がりやすい歯周病はどのような状況であっても優先して治療がおこなわれます。
歯周病の菌がお口全体に広がる可能性があるため、インプラント治療の前に歯周病を治す必要があります。

治療前のCT撮影が必要になる

インプラント治療では顎の骨の状態を事前に知る必要があります。
そのため、事前にCT撮影を実施し、お口の中の状態を把握しなければなりません。
CTの撮影はインプラント治療における事故を防ぐためにも必要不可欠です。
放射線を用いるCT撮影に抵抗を感じる方もいるでしょう。
しかし、インプラント治療とCT撮影は切り離せない関係です。

奥歯のインプラントはメリットも豊富

ここまで、ご紹介をした奥歯のインプラントに対するデメリットばかりをみていると、インプラント治療に抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、奥歯のインプラント治療には以下のようなメリットもあります。

  • 周囲の歯に負担をかけず治療できる
  • 咀嚼や発音をしやすくなる
  • 消化器官にかかる負担を軽減できる
  • 顎骨の収縮を防止できる
  • 噛み合わせが改善する
  • 痛みの少ない治療ができる

それぞれ解説します。

周囲の歯に負担をかけず治療できる

インプラントは他の歯に負担をかけずに治療可能です。
インプラント治療に代わる他の治療には入れ歯やブリッジがあります。
入れ歯の場合は健康な歯にバネをかける必要があり、少なからず負担を与える行為です。
ブリッジの場合は治療する歯に隣り合わせる歯を削る必要があります。
どちらの治療方法でも健康な歯に負担をかける必要があるといえるでしょう。
一方でインプラント治療の場合は失った歯のみの治療で完結します。
他の健康な歯に影響を与えずに治療できる点はインプラントのメリットです。

咀嚼や発音をしやすくなる

歯を失ったままにしておくと、そこから空気が漏れて発音に影響を与えます。
また、食事の際の咀嚼もしにくくなり、食事中にストレスを感じるでしょう。
インプラント治療は、咀嚼や発音に与えた影響を回復させられます。
入れ歯やブリッジなどの治療では義歯がずれたり、隙間ができたりして発音や咀嚼に影響を与える可能性が少なからずあります。
しかしインプラント治療であれば基本的に歯がずれることはないため、歯がある状態と同じように咀嚼と発音が可能です。

消化器官にかかる負担を軽減できる

インプラントをすることで、消化器官にかかる負担を軽減できます。
実は、歯を1本失っただけでも咀嚼の力が30〜40%ほど低くなるといわれています。
とくに奥歯を失った場合は咀嚼に与える影響が非常に大きいです。きちんと咀嚼ができないまま食事を進めると胃や腸などの消化器官に負担をかけます。
消化器官に負担を与えないためには、よく噛み食べたものを細かくして飲み込まなければいけないためです。
インプラント治療で奥歯に代わる歯を再建できれば、咀嚼もこれまで通りできるようになります。結果、消化器官にかかるであろう負担も軽減可能です。

顎骨の収縮を防止できる

人間の体では使われない筋肉や骨が徐々に萎縮する作用が働きます。長期間の入院で歩く時間が減った際に筋肉が落ちてしまうのと同じ作用です。
この作用はお口の中でも働きます。歯を失い、その部分の顎の骨が使われなくなると、徐々に萎縮していきます。
入れ歯やブリッジの治療においても歯根は再建できないため、顎の骨が萎縮する作用は止められません。
しかし、インプラント治療であれば人工歯根を顎の骨に埋め込むため、顎の骨が萎縮することはなくなります。

噛み合わせが改善する

奥歯をインプラントにすることで、噛み合わせが大きく改善します。
失った歯をそのままにしていると一部の歯にだけ負担をかけてしまう恐れがあり、結果として負担がかかっている歯が割れたり、削れたりなどの影響を与えます。
そこで失った歯の部分にインプラント治療を施すと、崩れた噛み合わせのバランスの改善が見込めるでしょう。
奥歯そのものが噛み合わせに与える影響は大きいですから、インプラント治療によってもたらされる噛み合わせの改善というメリットも大きいです。

痛みの少ない治療ができる

インプラントは、治療後も自然歯と同じ使用感で過ごせます。
入れ歯やブリッジの場合は、隙間に食べ物が挟まったり、義歯がずれた際に強い痛みを感じる可能性があります。
入れ歯やブリッジの治療後に痛みを感じた場合は義歯の作り直しが必要なるケースもあるでしょう。
一方でインプラントであれば、義歯がずれることはありませんし、隙間もないため食べ物が挟まることもないです。
治療後のトラブルも少なく、自然歯と同じような使用感を感じられる点は大きなメリットです。

インプラントのメリット・デメリットは奥歯も前歯も同じ

インプラント治療において、奥歯であっても前歯であってもメリットやデメリットは変わりません。
奥歯だから治療の難易度が上がるだったり、前歯の方が治療が難しいだったりとさまざまな情報が流れていますがどちらも変わらないのです。
インプラント治療を実施するのであれば前歯でも奥歯でもメリットは豊富にありますし、デメリットも少なからずあります。
お口の状態によってもメリットやデメリットは変わりますので事前に歯科医院にて相談すると良いでしょう。

奥歯のインプラントを受ける際の注意点4選

奥歯のインプラントは、治療を受ける前には知っておくべき注意点がいくつかあります。
そこでインプラント治療を受ける際の注意点を4つご紹介します。

  • 信頼できる歯科医院で治療を受ける
  • セルフケアを徹底する
  • 持病があれば必ず報告する
  • 禁煙する

一つずつ解説していきます。

信頼できる歯科医院で治療を受ける

インプラント治療は簡単な治療ではありません。すべての歯科医師がインプラント治療できるわけではないです。
技術を必要とする治療ですし、個人それぞれに合わせた治療をする必要があります。
経験豊富な歯科医師であれば、さまざまな症例をみていますのでイレギュラーにも対応できます。
インプラント治療の経験があるかどうかは歯科医院のHPで確認できます。過去の症例など掲載している歯科医師を選ぶようにしましょう。
また、どんなに実績があっても誠実な歯科医師を選ぶべきです。疑問点や不安な事柄を相談できる歯科医師を選びましょう。
丁寧にカウンセリングや説明をしてくれる方であれば、安心して治療を受けられます。

セルフケアを徹底する

インプラントの治療前後で、セルフケアを徹底するようにしましょう。
インプラントの治療前には、虫歯や歯周病の治療をしなければなりません。
この治療に時間がかかると、インプラント治療をスタートする時期も大幅にずれてしまうでしょう。
治療を早めにスタートしたいのであれば虫歯や歯周病にならないようにすべきです。
また、治療後もセルフケアを徹底し、お口の状態を良好に保ちましょう。
正しいセルフケアの方法がわからない場合は歯科医院で相談してください。

持病は医師へ必ず報告する

持病を持っている場合、インプラント治療ができない可能性があります。
とくに注意が必要なのは糖尿病と高血圧です。糖尿病は身体全体の治癒力を低下させます。
結果、口腔内で細菌感染を高めるリスクがあります。また、高血圧は治療中の出血リスクを高めます。
持病を持っている場合は治療前に歯科医師に相談するようにしましょう。

禁煙する

インプラント治療前には禁煙するよう努力しましょう。
喫煙するとお口の中の毛細血管が収縮し、免疫作用が弱くなってしまい、治療中に細菌感染するリスクが高まるためです。
他にも、喫煙は人工歯根と顎の骨が結合しにくくさせます。
人工歯根が顎の骨ときちんと結合されないとぐらつきが発生します。
また、インプラント周囲炎になりやすくなるリスクも喫煙にはありますので、治療前から治療後にかけては禁煙するようにしましょう。

まとめ

奥歯のインプラントにはメリットもデメリットも両方あります。
自分にとってメリットとデメリット、どちらが重要なのか一度考えてみると良いでしょう。
インプラントは失った歯の治療法のなかでもメリットが多くある治療法です。
一方で治療前に把握すべき注意点もいくつかあります。
治療するかどうか判断する前に注意点についてもきちんと知るようにしましょう。
当院では、経験豊富な医師によってインプラント治療をおこなっております。
インプラントをご検討中の方は、イオン直結のおくだデンタルクリニック港南台へお気軽にご相談ください。
港南台バーズ、ロピアにお越しの際もぜひお立ち寄りください。

この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎

略歴

2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る

所属学会

アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会